日産プリメーラが、およそ20年ぶりに復活しました。
しかも予想CGや単なる噂ではありません。日産は2026年6月、フィリピン国際モーターショーで新型EVセダン「プリメーラEV」を正式に公開しています。
初代P10や2代目P11を知る人なら、「プリメーラ復活」という言葉だけで期待してしまうのではないでしょうか。
しかし、公開された新型車を見ると、往年のプリメーラとは大きく異なります。
新型プリメーラEVの正体は、中国の東風日産が開発した大型EVセダン「N7」をベースにしたモデルです。車名こそプリメーラですが、1990年代のプリメーラを現代風に進化させた直接的な後継車とは考えにくいでしょう。
また、現時点で日本発売は発表されていません。
この記事では、新型プリメーラEVの正体、中国N7のサイズや航続距離、歴代プリメーラとの違い、日本発売の可能性と予想価格を整理します。
プリメーラEV以外を含む今後の日産車については、日産新型車予定2026~2027年まとめで、発売時期と日本導入の確度を整理しています。
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電話なしで車査定できる仕組みを見る新型日産プリメーラEVが約20年ぶりに復活
日産は2026年6月4日、第10回フィリピン国際モーターショーにおいて、新型EVセダン「プリメーラEV」を公開しました。
これは日産が正式に発表した新型車であり、プリメーラという車名の復活自体は事実です。
日産は中国をイノベーションとグローバル輸出の拠点として活用する方針を打ち出しており、プリメーラEVもその戦略を象徴するモデルの一つです。
同じ会場では、中国の鄭州日産が開発した「ナバラ プロ プラグインハイブリッド」も公開されました。
つまり今回のプリメーラEVは、日本で開発した新型プリメーラを海外へ展開するのではありません。
中国で開発・販売されている日産N7をフィリピンへ展開する際に、現地で知られている「プリメーラ」の車名を採用したモデルです。
日産公式発表でも、新型プリメーラEVは洗練されたデザイン、快適性、先進技術を備えたEVセダンとして紹介されています。
参考:日産「フィリピン国際モーターショーで新型EVセダンを公開」
結論:プリメーラ復活は本当だが日本復活ではない
最初に整理しておきたいのは、プリメーラEVが発表された地域です。
| 確認項目 | 2026年9月時点の状況 |
|---|---|
| プリメーラの車名復活 | 日産が正式発表 |
| 公開された市場 | フィリピン |
| ベース車 | 中国・東風日産N7 |
| パワートレイン | バッテリーEV |
| フィリピンでの販売 | 導入予定 |
| 日本発売 | 未発表 |
| 日本向け価格 | 未発表 |
| 歴代モデルとの直接的な関係 | 明らかにされていない |
「プリメーラが復活した」という表現は間違いではありません。
ただし、「日産が日本でプリメーラを復活させる」と決まったわけではない点には注意が必要です。
現段階では、フィリピン向けEVセダンにプリメーラという名前を与えた、と捉えるのが正確でしょう。
新型プリメーラEVの正体は中国の日産N7
新型プリメーラEVのベースとなったN7は、日産と中国の東風汽車による合弁会社「東風日産」が開発したEVセダンです。
2024年の広州モーターショーで公開され、2025年4月に中国で発売されました。
N7は日産のロゴを付けていますが、日本や欧米で開発された従来の日産車とは成り立ちが異なります。
中国市場に合わせて中国で企画・開発され、中国企業の技術や部品も積極的に採用したモデルです。
日産N7の主要スペック
| 項目 | 中国仕様N7 |
|---|---|
| 全長 | 4,930mm |
| 全幅 | 1,895mm |
| 全高 | 1,487mm |
| ホイールベース | 2,915mm |
| 駆動方式 | 前輪駆動 |
| バッテリー | 58kWh/73kWh |
| 最高出力 | 160kW/200kW |
| 航続距離 | 510~635km |
| 航続距離の測定基準 | 中国CLTCモード |
| 急速充電 | 3C急速充電対応仕様あり |
| 乗車定員 | 5人 |
日産の公式発表によると、N7は全長4,930mm、全幅1,895mm、ホイールベース2,915mmという堂々としたサイズです。
参考:日産公式「Dongfeng Nissan reveals all-new N7 EV sedan」
見た目は流麗なファストバック風ですが、車体サイズはトヨタ・カムリなどよりもさらに大きく、プリメーラという名前から想像するミドルクラスセダンではありません。
航続距離は最大635kmだが日本のWLTC値とは比較できない
中国仕様N7には、58kWhと73kWhのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが設定されています。
公表されている航続距離は、グレードによって510kmから最大635kmです。
ただし、この数字は中国のCLTCモードで測定されています。
CLTCモードは、日本のWLTCモードより航続距離が長く表示される傾向があります。そのため、最大635kmという数字を日本で販売されるEVのWLTC航続距離と、そのまま比較することはできません。
日本仕様が作られた場合、実際に公表されるWLTC航続距離は中国仕様のCLTC値より短くなる可能性があります。
一方で、最大73kWhというバッテリー容量は十分に大きく、日本で日常的に使用するEVとして航続距離が不足する可能性は低いでしょう。
東風日産によると、N7は最長635kmの航続距離に加え、約17分の充電で400km分を補える3C急速充電にも対応します。
参考:東風日産・N7公式情報
中国での価格は日本円換算で約250万~310万円
中国におけるN7の発売価格は、11万9,900元から14万9,900元です。
為替レートによって変動しますが、単純に日本円へ換算すると、およそ250万~310万円に相当します。
全長約4.9mの大型EVセダンとしては、驚くほど安い価格です。
N7は発売後34日で1万7,000台を超える受注を獲得しており、日産によると、快適性、ブランドへの信頼、購入しやすい価格が支持されたとしています。
参考:日産公式「N7が発売後34日で1万7,000台超を受注」
ただし、日本へそのまま250万円台で導入できるわけではありません。
右ハンドル化、日本の法規への対応、充電規格の変更、通信サービスや運転支援機能のローカライズ、輸送費、販売店での整備体制などが必要になります。
プリメーラEVが日本へ導入された場合、新型リーフやテスラ、BYDなども比較対象になります。現在購入できるEVの価格や航続距離は、2026年版EVおすすめランキングで比較しています。
日本価格は400万~550万円程度になる可能性
新型プリメーラEVが日本で発売される場合、車両価格は400万~550万円程度になると予想します。
中国価格だけを見れば300万円台からの発売も期待したくなりますが、日本向け仕様への変更や販売体制を考えると、単純換算より高くなるでしょう。
一方、価格を上げすぎると新型リーフやアリアと競合します。
| 車種 | 日本市場での立ち位置 |
|---|---|
| 新型リーフ | 日産の主力EV・クロスオーバー |
| アリア | 上級EVクロスオーバー |
| プリメーラEV | 大型EVセダン |
| スカイライン | スポーツセダン |
プリメーラEVを500万円台後半で販売すると、日産車同士の競合が強くなります。
日本で一定の販売台数を狙うのであれば、エントリーグレードを400万円前後、航続距離の長い上位モデルを500万円前後に設定する必要がありそうです。
ただし、これは中国仕様N7の価格と日本市場のEV価格から推測したものであり、日産が公表した価格ではありません。
初代P10プリメーラとはどれほど違う?
プリメーラと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは1990年に登場した初代P10型でしょう。
P10プリメーラは「1990年までに世界一の動性能を実現する」という日産の901活動から生まれました。
前輪マルチリンクサスペンションを採用し、正確なハンドリングと欧州車を意識した引き締まった乗り味を特徴としていました。
日産自身も初代プリメーラについて、「欧州の名車に匹敵する走りの性能と快適性を実現した新たなコンセプトのセダン」と説明しています。
初代プリメーラと新型N7を比較
| 比較項目 | 初代プリメーラP10 | 新型プリメーラEVのベース・N7 |
|---|---|---|
| 全長 | 4,400mm | 4,930mm |
| 全幅 | 1,695mm | 1,895mm |
| 全高 | 1,385mm | 1,487mm |
| ホイールベース | 2,550mm | 2,915mm |
| 車両重量 | 約1,200kg | 約1,800kg台 |
| パワートレイン | ガソリンエンジン | 電気モーター |
| 駆動方式 | 前輪駆動など | 前輪駆動 |
| 開発思想 | 走行性能と実用性の両立 | 快適性・先進装備・EV性能 |
N7は初代プリメーラより全長が530mm長く、全幅は200mm広くなっています。
全幅1,895mmという数字は、日本の狭い住宅街や立体駐車場では扱いにくさを感じるサイズです。
往年のプリメーラが比較的コンパクトな車体に優れたハンドリングと実用性を詰め込んだセダンだったことを考えると、新型は名前以外ほぼ別の車といってよいでしょう。
「これじゃない」と感じるファンがいるのも当然
プリメーラという名前の復活を喜びながら、公開された車を見て複雑な気持ちになった人もいるでしょう。
その感覚は決して懐古主義だけではありません。
歴代プリメーラ、とくに初代P10が評価されたのは、単にセダンだったからではありません。
- 適度にコンパクトな車体
- 正確で気持ちのよいハンドリング
- 欧州車を意識した足まわり
- 家族で使える実用性
- 派手ではないが機能的なデザイン
- 手の届く価格
こうした要素の組み合わせが、プリメーラという車の個性を作っていました。
一方、新型プリメーラEVは全長約4.9m、全幅約1.9mの大型EVセダンです。
快適性やデジタル装備、航続距離では大きく進化していますが、歴代プリメーラと同じ価値を目指した車とは考えにくいでしょう。
「プリメーラがEVになったこと」が問題なのではありません。
EVであっても、適度なサイズ、軽快な走り、実用性、購入しやすい価格を実現していれば、現代版プリメーラとして受け入れられた可能性があります。
今回の新型車に違和感があるとすれば、中国向けの大型EVセダンに、後からプリメーラという名前を付けたように見える点です。
日産はプリメーラだけでなく、往年のSUV「テラノ」の車名も復活させています。ただし、新型テラノPHEVは初代を思わせるデザインを一部継承しており、プリメーラEVとは車名復活の見せ方が異なります。
なぜフィリピンでプリメーラの名前を復活させたのか
フィリピンでは、過去にP10型やP11型を含むプリメーラが販売されていました。
そのため、まったく新しいN7という名称で販売するより、一定の認知があるプリメーラの名前を使った方が市場へ浸透しやすいと判断した可能性があります。
自動車メーカーが市場によって車名を変更することは珍しくありません。
日本の日産マーチが海外ではマイクラ、日産デュアリスがキャシュカイとして販売されてきたように、地域ごとに理解されやすい名称が選ばれることがあります。
今回も、フィリピン市場における商品戦略としてプリメーラの名前が採用されたと考えるのが自然です。
つまり、プリメーラというブランドを世界規模で本格復活させるというより、N7を海外展開する際のローカルネームである可能性があります。
新型プリメーラEVの内装と装備
ベースとなるN7の室内は、歴代プリメーラの機能的なデザインとは大きく異なります。
インストルメントパネル中央には15.6インチの大型ディスプレイを配置。上位仕様には高性能な車載用プロセッサーが採用され、音声操作や車両設定、ナビゲーションなどを統合しています。
また、N7が特に力を入れているのがシートの快適性です。
身体への圧力を分散するシート、電動調整、ヒーター、ベンチレーション、マッサージ機能などを用意し、スポーツセダンというより移動中の快適性を重視しています。
運転支援機能には、中国の自動運転技術企業Momentaと共同開発したシステムが採用されています。
ただし、中国仕様の通信機能や運転支援システムを日本でそのまま使えるとは限りません。
日本へ導入する場合は、地図情報、通信サービス、認証、運転支援機能を日本向けに調整する必要があります。
新型プリメーラEVは日本で発売される?
2026年9月時点で、日産から日本発売に関する正式発表はありません。
したがって、「新型プリメーラが日本でも発売される」と断定することはできません。
ただし、可能性が完全にないとも言い切れません。
日本発売に期待できる理由
- 日産が中国開発車のグローバル輸出を進めている
- N7は中国で一定の受注実績を作っている
- 日本の日産には新しいEVセダンがない
- スカイライン以外のセダンが少なくなっている
- 中国生産によって価格競争力を出せる可能性がある
- プリメーラという車名には日本でも知名度がある
日産はN7を中国だけで終わらせず、海外市場へ展開する方針を明確にしています。
フィリピンでプリメーラEVを公開したことは、その第一歩と見ることができます。
日本発売が難しい理由
- 日本ではセダン市場自体が縮小している
- 全幅1,895mmは日本で使いやすいサイズではない
- 右ハンドル仕様の開発が必要
- 日本の充電規格や法規への対応が必要
- 中国向けソフトウェアのローカライズが必要
- 新型リーフやアリアと価格帯が重なる
- 中国生産の日産車に対する市場の反応が読みにくい
最大の問題は、プリメーラという名前と車体サイズの不一致です。
歴代プリメーラを知る人が期待するのは、全幅1.9m近い高級EVセダンではなく、日本でも扱いやすく、運転して楽しいミドルクラスセダンでしょう。
仮に日本へ導入されても、往年のプリメーラファンだけで販売台数を確保するのは難しいと考えられます。
海外生産の大型セダンを右ハンドル化して日本へ導入する例としては、2026年秋の日本発売が予定されている新型カムリがあります。プリメーラEVの日本導入を考えるうえでも参考になる動きです。
日本で販売するならプリメーラという名前は有効か
販売面だけを考えれば、まったく新しい「N7」という車名より、プリメーラの名前を使った方が注目を集めやすいでしょう。
実際、今回も「日産の新型EVセダン」ではなく「プリメーラ復活」と報じられたことで、多くの人が関心を示しています。
一方で、過去の車名には、その車が積み重ねてきたイメージがあります。
プリメーラなら、走りの良さ、欧州的な味付け、実用性、手頃なサイズを期待されます。
そこに大型で快適性重視の中国製EVを当てはめると、知名度は得られても「名前だけ借りた」という批判を受ける可能性があります。
日本へ導入するなら、単にエンブレムを変更するだけでは不十分です。
サスペンションやステアリング、日本の道路環境に合わせた乗り味まで作り込み、「なぜこの車がプリメーラなのか」を説明できる商品にする必要があります。
新型プリメーラEVは日本で売れる?
日本で売れるかどうかは、価格次第です。
全長4,930mm、全幅1,895mmのEVセダンを500万円以上で販売すれば、テスラ・モデル3、BYDシール、ヒョンデ・アイオニック6なども競合します。
さらに、SUVを好む人には日産アリアや新型リーフがあります。
プリメーラEVならではの魅力を作るには、次の条件が必要でしょう。
- エントリー価格を400万円前後に抑える
- 日本の道路に合わせて足まわりを調整する
- 右ハンドル化と日本語ソフトウェアを丁寧に仕上げる
- 実用的な急速充電性能を確保する
- プリメーラらしい走りを与える
- 中国生産であることを含めて情報を明確にする
ただ安いだけでは、日産のEVセダンを選ぶ理由として弱いかもしれません。
一方で、400万円台で広い室内、十分な航続距離、高い快適性を実現できれば、コストパフォーマンスを重視する層には魅力的な選択肢になります。
特にテスラModel 3は、価格だけでなく航続距離、充電環境、車幅、購入後のサポートまで比較する必要があります。テスラを買って後悔しやすい理由も確認しておきましょう。
プリメーラEVに関するよくある質問
日産プリメーラは本当に復活したのですか?
日産は2026年6月、フィリピン国際モーターショーで「プリメーラEV」を正式公開しました。車名の復活自体は事実ですが、日本での復活や発売は発表されていません。
新型プリメーラEVは日本で発売されますか?
2026年9月時点で、日本発売は未発表です。日産は中国開発車の海外輸出を進めていますが、日本導入が決まったわけではありません。
新型プリメーラEVは中国車ですか?
ベースとなるN7は、日産と東風汽車の合弁会社である東風日産が中国で開発・生産するEVです。日産ブランドの車ですが、中国市場を中心に企画されたモデルです。
新型プリメーラEVの航続距離は何kmですか?
中国仕様N7の公表値は510~635kmです。ただし、中国CLTCモードの数値なので、日本のWLTCモードと単純比較はできません。
新型プリメーラEVの価格はいくらですか?
フィリピン仕様の価格は未発表です。中国仕様N7は11万9,900~14万9,900元で販売されました。日本へ導入される場合は、400万~550万円程度になる可能性があります。
昔のプリメーラの後継車ですか?
日産は歴代プリメーラの直接的な後継車とは説明していません。中国の日産N7をベースに、フィリピン市場向けにプリメーラの名前を採用したモデルと考えられます。
まとめ:復活は嬉しいが、私たちが待っていたプリメーラとは違う
新型プリメーラEVは、予想や噂ではなく、日産が正式公開したEVセダンです。
ただし、現時点で確認できる内容は次の通りです。
- プリメーラEVはフィリピンで公開された
- ベース車は中国の東風日産N7
- 全長4,930mm、全幅1,895mmの大型セダン
- 中国仕様の航続距離は最大635km
- 中国では約250万~310万円相当で販売
- 日本発売と日本価格は未発表
- 歴代プリメーラの直接的な後継車ではない
- 日本導入には右ハンドル化や仕様変更が必要
プリメーラという車名が約20年ぶりに使われたことは、素直に嬉しいニュースです。
一方、初代P10のように、扱いやすいサイズと気持ちのよいハンドリングを備えたセダンを期待すると、「これではない」と感じるのも無理はありません。
新型車がEVであることや、中国で開発されたこと自体が問題なのではありません。
大切なのは、プリメーラという名前にふさわしい走りと実用性を持っているかどうかです。
もし日本へ導入するなら、名前だけの復活ではなく、日本の道路を走って「確かにプリメーラだ」と思える仕上がりを期待したいところです。
※仕様・価格・発売情報は2026年9月時点の公表情報をもとにしています。プリメーラEVの日本発売、国内仕様、価格は正式発表されていません。
