サーフィン用の車を選ぶとき、車種ランキングだけで決めるのは難しいものです。ショートボードを1枚積んで一人で行く人と、ロングボードを持って家族と出かける人では、必要な車内の長さも座席数も違います。
**最初に決めるのは、キャリアで運べるか、雨の日には車内にも積めるか。**その次に、同乗人数、濡れたウェットスーツの置き場、普段の駐車場と維持費を考えましょう。この記事では「万能な1位」を決める代わりに、使い方が異なる6台を比較します。
私自身、車を検討するときは板をディーラーに持っていき、実際に積めるか確かめます。カタログに荷室長が載っていても、ケースに入れた板が通る角度や、運転席を合わせた後に残る長さまでは分からないからです。屋根に載せる前提の車でも、雨が降った日に車内へ切り替えられるかは重要だと感じます。

まずボードの長さと同乗人数を確認
9ftのボードは長さの呼び方だけでも約274cm。8ftなら約244cmです。実際はボードの形、フィン、ケースの厚みもあり、車内の長さが同じ数字なら載るとは限りません。室内の幅と高さ、テールゲートの開口、積載時の座席位置も必要です。
| 使い方 | 車選びの最初の条件 |
|---|---|
| ショートボードを1枚、一人で運ぶ | 後席を倒した荷室と普段の運転姿勢 |
| 8〜9ft級のロングボードを車内に積みたい | 実際のボードとケースを持参して積載を確認 |
| 家族を乗せ、ボードも運ぶ | 必要な座席を残せるか。車内で無理ならルーフ積載も検討 |
| 友人と複数枚を運ぶ | ボードを固定する場所、荷物との分離、同乗人数 |
ボードを斜めに置けば入る場合でも、運転操作や視界の妨げになったり、急ブレーキで動いたりしないように固定方法を確認してください。座席を倒した状態で人を乗せる前提にもできません。
キャリアの適合と「雨の日の車内積載」は別々に見る
ルーフレールが付いていることと、使いたいキャリア・ボードラックが装着できることは別です。購入候補の車種、年式、ルーフ形状に合うベースキャリアとアタッチメントがあるか、耐荷重と固定方法まで確認します。駐車場の高さ制限も忘れられません。
そのうえで雨の日用に、後席が左右どちらで分割して倒れるか、助手席の背もたれがどこまで倒れるか、テールゲートを閉じた状態で長さと高さが確保できるかを見ます。車内に積めるかは、実際の板・ケース・フィンを持参して確認するのが一番確実です。
使い方別に選ぶ6台
| 車種 | 向いている人 | 選ぶ前の確認点 |
|---|---|---|
| トヨタ シエンタ 5人乗り | 家族の日常使いと週末の海を両立したい | ボードを積むときの後席と助手席の位置 |
| ホンダ フリード CROSSTAR 5人乗り | 家族の荷物が多く、道具を整理したい | 5人乗りと6人乗りの荷室構成の違い |
| ホンダ N-VAN | 一人で海へ行き、長尺物を車内に置きたい | ボード実寸、助手席を格納したときの乗車人数 |
| トヨタ ハイエース バン | 複数枚や大きな道具を頻繁に運ぶ | 駐車場、日々のサイズ、商用車としての使い方 |
| トヨタ RAV4 | SUVを普段から使いたく、海にも行く | 車内積載の実測、必要ならルーフ積載の方法 |
| 日産 エクストレイル | 砂や濡れ物に配慮した装備を選びたい | 防水シート・荷室用品の年式と装備設定 |
順番は総合順位ではありません。板の長さと普段の生活が変われば、最適な車も変わります。
シエンタ|家族の車として使うなら有力
シエンタの5人乗りは、後席を動かして荷室を使う2列シート車です。スライドドアがあるため、子どもの乗せ降ろしや狭い駐車場での使い勝手も考えやすく、海に行かない日の車としても選びやすいでしょう。
ただし、「助手席を倒せばボードが積める」と一律には言えません。特にロングボードは実際のボードを持ち込み、前席の運転位置、後席に座る人数を決めた状態で確認してください。7人乗りを選ぶ場合は荷室構成も変わります。
家族の車としてシエンタとフリードを迷っているなら、シエンタとフリードの比較も参考にしてください。ただし、通常の荷室比較とボードの実測は別です。
フリード CROSSTAR 5人乗り|道具と家族の荷物を整理する
フリード CROSSTARには5人乗りの2列シート仕様があり、荷室に道具をまとめたい人の候補です。荷室のユーティリティー機能もあるので、ウェットスーツ、ポリタンク、着替えなどをどう分けるかイメージしやすいでしょう。
同じフリードでも6人乗りなどとはシート構成が異なります。複数人でサーフィンに行くなら、「人が座る状態で何枚載るか」を実車で確かめてください。シエンタと比べるときも、どちらも2列シート仕様にするなど条件を合わせます。
普段の家族利用も含めた注意点は、フリードで後悔する人の特徴で詳しく整理しています。
N-VAN|一人で長い道具を運びたい
N-VANは助手席と後席を格納して長いスペースを作れる車です。Hondaが示す助手席・後席格納時の最大スペース長は約2,635mmという参考値があります。ただし、これは測定条件付きの寸法で、**約2,743mmの9ftボードを車内に積める根拠にはなりません。**8ft級でもケース、フィン、積載角度を含めて実測が必要です。
助手席まで荷物に使うと、当然ながら同乗者の席は使えません。一人で海に行くことが多い人、普段から道具を積む人向けとして検討したい車です。商用車ならではの乗り心地や後席の使い方も試乗で確かめましょう。
ハイエース バン|複数枚を運ぶ人の選択肢
ボードを複数枚運ぶ、着替えや道具をまとめたい、頻繁に海へ通う。そうした使い方ならハイエース バンの大きな荷室には意味があります。ボディやシートの仕様が幅広いため、家族や友人を何人乗せるか、どの仕様の荷室を使うかを先に決めましょう。
一方、年に数回しか行かないなら、海以外の毎日に大きな車を使う負担もあります。駐車場の寸法、取り回し、購入後の費用まで含めて考える車です。「本格派だからハイエース」というだけでは決められません。
RAV4|SUVを普段使いしながら海へ行く
RAV4は週末の海だけでなく、普段もSUVを使いたい人の候補です。ただし、SUVという形だけで車内が防水になるわけではありません。濡れた道具にはトレーやバッグを使い、荷室の素材や掃除のしやすさを確かめてください。
ロングボードを車内に積めるかは実車とボードで確認し、難しい場合は車種・ルーフ・キャリアの適合と固定方法を調べます。四輪駆動を選んでも、砂浜へ自由に乗り入れてよいという意味ではありません。普段の駐車場で車体の大きさが負担にならないかも重要です。
駐車場や街中でのサイズ感が気になるなら、RAV4の大きさを検証した記事も確認してください。
エクストレイル|砂と濡れた道具の扱いで選ぶ
エクストレイルは、汚れに強い内装や荷室を特徴としてきた車です。かつてのモデルには、取り外して洗えるラゲッジボードを設定した時期もありました。現行型にも防水シートや、後席を倒した部分まで覆う防水タイプのラゲッジマットが設定されています。ただし、**昔の「洗える荷室」と現行型の標準装備は同じではありません。**購入する年式・グレード・オプションを確認してください。
砂が荷室の隅にたまると、海から戻った後の片付けが面倒です。床面だけでなく側面やシートの背面まで保護できるか、マットを外して掃除しやすいかを見ると、カタログの「防水」という言葉より使い方を想像できます。ボードの車内積載やキャリアの適合は別に実測が必要です。
現行型の価格、走り、グレードの違いはエクストレイルの購入ガイドで確認できます。
見落としがちな「荷室の使い方」
サーフボードだけなら長さで比較できますが、実際には水を入れたポリタンク、ボードスタンド、着替え、ウェットスーツ、タオルもあります。大きな空間が一つあるだけより、濡れ物と乾いた物を分け、重い物を低い位置で出し入れできる方が便利です。
私が使って便利だと感じたのは、上下に分かれて開くテールゲートです。下側を開くと重い水をいったん置けて、着替えのときにも荷台のように使えます。車種名よりも、こうした海で繰り返す動作が楽になるかを見たいところです。ただし、現行車に同じ構造があるとは限らず、下側ゲートや床面を使う際は車両ごとの耐荷重・注意事項を確認します。
ウェットスーツを一時的に掛ける場所も確認しましょう。停止中に使えるフックやバー、滴が落ちる位置、周囲の人目、換気のしやすさがポイントです。車内に長時間濡れたまま放置せず、帰宅後に取り出して洗って乾かす前提で考えます。
ハスラーや小さな車は選べない?
ショートボードを一人で運び、日常の小回りと維持費を優先するなら、ハスラーのような軽自動車も候補になります。スズキはシートアレンジや汚れに配慮した荷室を案内しています。ただし、ボードの長さと助手席の使い方に制約が出やすく、ロングボードを車内に積む前提なら実測が必須です。
反対に、海へ行く回数が少ないなら、今の車に適合するキャリアや道具の収納を工夫する方が、買い替えより合う場合もあります。
濡れた道具を車に積むときの準備
- ウェットスーツは密閉できるバッグやバケツに入れ、帰宅後は早めに取り出す。
- 砂を落とせるブラシやマットを用意し、荷室の隅に砂や水が残らないようにする。
- 水を入れたポリタンクは低い位置で倒れないように固定し、積み下ろしの高さを確認する。
- ボードスタンドと着替えは取り出す順番を考えて置き、濡れ物と分ける。
- ボードはケースを使い、走行中に動かないよう車両の適切な固定箇所を確認する。
- ルーフ積載では車種とキャリアの適合、耐荷重、ボードの固定、車高制限を確認する。
- ポリタンク、着替え、濡れたウェットをどこに置くか、ボード以外の荷物も含めて積載を試す。
「防水シートがあれば車内で着替えられる」とも限りません。高さや人目、プライバシー、季節によって使い勝手は大きく変わります。
朝の波待ちやサーフィン後の仮眠にも、寝床を確保しておきたい
サーフィン用の車は、ボードを運ぶだけでなく、海に入る前後に休む場所にもなります。夜中に出発して、到着後は明るくなるまで少し寝る。朝の1ラウンドを終えて、着替えてから横になる。そんな使い方をする人は、積載とあわせて仮眠スペースも確認しておきましょう。
シートを倒して休むことはできますが、背もたれの膨らみや継ぎ目が気になる場合もあります。短い仮眠でも、体を伸ばせる場所とクッション性のある寝床を用意できるかで、車内の使い勝手は変わります。
ボードを積めることと、積んだまま寝られることは別
特にロングボードを車内に積む場合、板が助手席から荷室までを占め、横になれる場所が残らないことがあります。後席を片側だけ倒してボードを置き、もう片側を寝床にできるかなど、実際の道具を載せた状態で確認することが大切です。
- ボードとケースを置いた状態で、横になれる長さと幅が残るか
- ポリタンクやクーラーボックスを寝床から移動できるか
- 濡れたウェットスーツや砂の付いた道具を寝具と分けられるか
- 雨でボードを車内に戻した場合も、休む場所を確保できるか
車内に積めるかを試すときは、寝る姿勢まで確認しておくと、海での過ごし方を具体的にイメージできます。
海での仮眠に用意しておきたいアイテム
- 車中泊マット:床の硬さやシートの凹凸を和らげる。広げた寸法と収納サイズを確認。
- 窓のシェード:外からの視線や光を遮る。車の窓に合うものを選ぶ。
- 乾いたタオル・着替え:海から上がった後、濡れたまま寝具に触れないように用意。
- 季節に合った寝具・枕:早朝の気温や休む姿勢に合わせて選ぶ。
- 防水バッグ・バケツ:濡れたウェットスーツを寝床や乾いた荷物と分ける。
寝具は移動中、袋などにまとめて砂や水から保護し、使うときに広げると扱いやすくなります。
仮眠用のマットは、厚さだけでなく「板と一緒に積めるか」で選ぶ
クッション性のある寝床を作りたい人には、厚さ10cmのオンリースタイル「車中泊専用マット」も候補になります。
ただし、大きな段差や傾斜はマットだけで解消できるとは限りません。先に寝床の形を確認し、必要に応じて段差を埋めたうえで、敷ける長さと幅を測りましょう。
サーフィン用なら、収納したマットがボードや海の道具と一緒に積めるかも重要です。商品ページの使用時・収納時の寸法を、愛車のスペースと照らし合わせてみてください。
なお、夏の車内は早朝でも暑くなることがあり、シェードを付けても安全に眠れる温度になるとは限りません。暑いときは車内での仮眠を避け、涼しく休める場所へ移動してください。仮眠は駐車場の利用ルールに従い、エンジンをかけたまま眠らないようにしましょう。
宿泊も含めて車選びを考えたい方は、車中泊におすすめの車と寝床づくりのポイントも参考にしてください。
購入前の実車チェック
- 持っている最長のボードをケースに入れた状態で測る。
- 同乗する人数を決め、必要な席を残して車に積む。
- キャリアの適合を確認し、雨の日には車内にも積めるか、分割シートの倒れ方まで試す。
- テールゲートを閉め、運転席の位置、視界、固定方法を確認する。
- ウェットスーツ、重い水、ボードスタンド、タオル、着替えの置き場を決める。
- 荷室の掃除、停止中のウェットの一時掛け、海に行かない日の使い勝手も考える。
海へ通う車は、燃料代だけで選ばない
毎週海へ行くなら、普段の買い物だけに使う車より走行距離が伸びます。ただし、燃費がよい車を選べば必ず出費を抑えられるわけではありません。車両価格に加えて、高速料金、駐車料金、タイヤ代もかかります。
例えば週1回、往復100kmを走れば、海への往復だけで年間約5,200km。候補車の燃費差が気になるときは、この距離を目安に燃料代を計算してみましょう。一方で、ボードを無理なく積めることや、濡れた道具を片付けやすいことにも、毎回の負担を減らす価値があります。
結論|「何ftを何人で運ぶか」が先
家族と普段使いを両立するならシエンタやフリードの2列シート車、一人で長い道具を運ぶならN-VAN、複数枚を頻繁に運ぶならハイエースが検討しやすい選択肢です。SUVが好みならRAV4に加え、砂や濡れ物を扱う装備からエクストレイルも比較したいところ。ハスラーは一人で短い板を運ぶ使い方で検討できます。
ロングボード派ほど、「この車なら入る」という評判をうのみにせず、自分の板とケースを販売店に持ち込んで確認することが大切です。板を無理なく運べて、普段の生活にも合う車を選びましょう。
