「ボルボXC60は壊れやすいらしい」
XC60の購入を検討していると、こうした評判が気になる方も多いのではないでしょうか。
北欧らしい上品なデザイン、安全性への信頼、長距離でも疲れにくいシート。XC60には国産SUVとは違う魅力があります。その一方で、故障や修理費に関する口コミが見つかるのも事実です。
結論からいうと、XC60を車種全体として「壊れやすい車」と断定できる公的なデータはありません。
ただし、XC60は電子制御装備が多く、年式によってエンジン、ディーゼル、48Vマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッドとパワートレインも異なります。
そのため、すべてのXC60をひとまとめにして考えるのではなく、年式と仕様ごとに注意点を確認することが重要です。
この記事では、XC60の故障リスクを必要以上に煽るのではなく、公式のリコール情報や保証制度をもとに、購入前に確認したいポイントを整理します。
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ボルボXC60は本当に壊れやすいのか
まず押さえておきたいのは、XC60について「国産車の何倍壊れる」と判断できるような、日本国内の公的な車種別故障率は公開されていないことです。
リコール件数があるからといって、その車種が必ず壊れやすいとも限りません。
リコールは安全や保安基準に関係する不具合をメーカーが届け出て、対象車を無償で改修する制度です。細かな操作上の不満や経年劣化による修理とは分けて考える必要があります。
XC60の場合は、次の3点が「壊れやすい」という印象につながりやすいと考えられます。
- センサーや運転支援、インフォテインメントなど電子制御装備が多い
- 年式によってパワートレインと注意点が大きく異なる
- 保証終了後の部品代や工賃が国産車より高くなりやすい
つまり、頻繁に走行不能になるというよりも、警告表示やソフトウェア、センサーなどのトラブルが目立ちやすく、修理時の負担も大きく感じやすい車と捉えた方が実態に近いでしょう。
故障以外にも、車幅や燃費、操作性、維持費などが気になる方は、ボルボXC60の欠点と購入前に確認したいポイントもあわせてご覧ください。
XC60は世代とパワートレインで故障リスクが違う
XC60の中古車を見るときは、まず世代とパワートレインを確認してください。
初代XC60
初代XC60は年式の古い車両が多くなっています。
エンジンやトランスミッションそのものだけでなく、ゴムホース、ブッシュ、エンジンマウント、エアコン、電装部品など、年数による劣化を考えなければなりません。
初代の場合は「XC60だから壊れる」というより、輸入車を10年以上維持するリスクとして考える必要があります。
走行距離が少なくても、整備記録がほとんど残っていない車両は慎重に判断した方がよいでしょう。
2代目XC60
2017年に登場した2代目は、現在のXC60につながる世代です。
ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッド、48Vマイルドハイブリッドなど、年式によってさまざまな仕様が存在します。
ボディや基本設計が同じでも、搭載されている電動化システムや制御ソフトウェアは同一ではありません。
中古車では「XC60の何年式か」だけでなく、B5、D4、T5、T8などのパワートレインまで確認することが大切です。
XC60で注意したい7つの故障・不具合ポイント
ここからは、XC60の購入前に確認しておきたい箇所を紹介します。
すべてのXC60に発生する持病という意味ではありません。年式や仕様によって該当しない項目もあるため、車台番号と整備履歴をもとに個別に確認してください。
1.センターディスプレイやインフォテインメントの不調
XC60は、ナビ、エアコン、車両設定など多くの機能をセンターディスプレイから操作します。
そのため、画面のフリーズ、再起動、カメラ映像が一時的に表示されない、スマートフォンとの接続が安定しないといった症状があると、不便を強く感じます。
ソフトウェアの更新や再起動で改善する場合もあり、必ずしもディスプレイ本体の故障とは限りません。
中古車を確認するときは、エンジンをかけて画面が正常に立ち上がるかだけでなく、次の機能も実際に操作しましょう。
- ナビゲーション
- バックカメラ・360度カメラ
- エアコン操作
- Bluetooth接続
- Apple CarPlay
- 音声操作
- メーターパネル内の警告表示
「納車後にソフトウェアを更新すれば大丈夫」という説明を受けた場合は、更新後の状態まで確認してから契約するのが理想です。
2.12V・48Vバッテリーと始動時の警告
電子制御装備の多いXC60では、バッテリーの電圧低下によって複数の警告が同時に表示されることがあります。
48Vマイルドハイブリッド車には通常の12Vバッテリーとは別の電動化システムがあるため、単純にバッテリーを交換すればすべて解決するとは限りません。
始動時に次のような状態がないか確認してください。
- セルモーターの動きが弱い
- 複数の警告灯が一斉に表示される
- アイドリングストップが長期間作動しない
- 「駆動システム」などの警告が表示される
- バッテリーを交換しても症状が再発する
過去にはXC60を含む車種で、エンジンコントロールモジュールや中電圧バッテリー関連のリコールも届け出られています。
ただし、対象は特定の型式と製造期間に限られます。警告表示だけで原因を決めつけず、診断機による確認が必要です。
3.冷却水漏れと冷却系統
XC60を含む一部のボルボ車では、過去にエンジン冷却装置のブリーダーホースに関するリコールが届け出られています。
冷却水が減少した状態で走行を続けると、オーバーヒートやエンジン損傷につながる可能性があります。
中古車では次の点を確認しましょう。
- 冷却水の量が不自然に減っていないか
- エンジンルーム内に乾いた冷却水の跡がないか
- 甘いにおいがしないか
- 水温や冷却水に関する警告履歴がないか
- 対象車の場合、リコール作業が完了しているか
冷却水が減っている車両に対して、単に補充しただけという説明では不十分です。漏れた原因まで確認する必要があります。
4.ブレーキ関連のリコール
XC60では、特定の車両を対象にブレーキ関連のリコールが届け出られています。
2024年12月に届け出られた「外-3905」では、ブレーキペダルとブレーキブースターを連結するシャフトの結合部が対象となりました。
ボルボ・カー・ジャパンの届出によると、対象となったXC60は特定期間に輸入された19台です。国内での不具合や事故は報告されていませんが、未実施車の場合は確実に対応しておきたい内容です。
また、2025年7月の「外-4040」では、ブレーキコントロールモジュールのプログラムが不適切なため、特定の条件でブレーキ油圧を適切に調整できないおそれがあるとしてリコールが届け出られています。
改善措置はプログラムの書き換えで、対象車によってはOTAによる更新にも対応しています。
リコールがあること自体より、対象車なのに作業が終わっていないことの方が問題です。
参考:ボルボ・カー・ジャパン「外-3905」リコール届出資料
参考:ボルボ・カー・ジャパン「外-4040」リコール届出資料
5.プラグインハイブリッド車の高電圧バッテリー
XC60のプラグインハイブリッド車を検討している場合は、高電圧バッテリーのリコール履歴も重要です。
2025年4月に届け出られた「外-3980」では、一部のプラグインハイブリッド車について、バッテリーセル内部で短絡が発生し、最悪の場合は火災に至るおそれがあるとされました。
XC60では、2019年から2021年に輸入された一部車両が対象に含まれています。
改善措置として車両を診断し、必要な場合はセルモジュールの交換と対策プログラムの導入が行われます。
対象車両は車台番号で限定されているため、同じ年式のXC60がすべて対象になるわけではありません。
PHEVの中古車を購入する場合は、リコール対象かどうかと作業完了の記録を必ず確認してください。
参考:ボルボ・カー・ジャパン「外-3980」リコール届出資料
6.リアサスペンション周辺の異音
2023年には、XC60を含む一部車両について、リアのリーフスプリングに関するリコール「外-3669」が届け出られています。
製造上の問題があるリーフスプリングは、悪路などを走行した際に亀裂が発生し、折損するおそれがあるという内容です。
試乗では次の症状がないか確認しましょう。
- 後方からコトコト、ギシギシという音がする
- 左右で車高が違って見える
- 段差を越えたときに強い衝撃を感じる
- タイヤが不自然に偏摩耗している
もちろん、リア周辺の異音がすべてリーフスプリングの問題とは限りません。ブッシュや荷室内の荷物などが原因の場合もあるため、異音がある車両は販売店に原因を確認してもらいましょう。
7.エアコンや足回りなどの高額修理
エアコン、サスペンション、センサー類はXC60特有の故障とは限りませんが、保証終了後に不具合が起きると修理費が高くなりやすい部分です。
特に注意したいのが、装備の多い上級グレードやエアサスペンション装着車です。
装備が充実していることは大きな魅力ですが、部品点数が増えれば、年数が経過したときに点検すべき箇所も増えます。
中古車では、購入価格の安さだけで判断せず、タイヤ、ブレーキ、バッテリー、エアコンなど、購入後数年間に交換が必要になりそうな部品を確認してください。
XC60の修理費は本当に高い?
XC60の修理費は、国産SUVより高くなる可能性があります。
ただし、インターネット上で見かける「この部品は必ず○万円」という情報には注意が必要です。
同じ症状でも、原因がソフトウェアなのか、センサーなのか、配線なのか、部品本体なのかによって費用は大きく変わります。
また、次の条件でも金額が変わります。
- 新車保証や中古車保証が残っているか
- リコールやサービスキャンペーンの対象か
- 正規ディーラーで修理するか
- 純正部品を使用するか
- 部品交換だけでなく診断作業が必要か
- 関連部品を同時に交換するか
警告灯が点灯した場合、インターネット上の修理事例だけを見て部品を交換するのは危険です。
まず診断機でエラーコードを読み取り、原因と見積もりを確認しましょう。
車両価格が安くても、保証料や納車整備費、購入直後の部品交換を含めると割高になることがあります。中古車は車両価格ではなく支払総額で判断すべき理由も参考にしてください。
リコールが多い車は壊れやすいのか
XC60には複数のリコール履歴がありますが、リコール件数だけで耐久性を判断することはできません。
現行のような電子制御の多い車では、部品交換ではなくソフトウェア更新で対応するリコールもあります。
重要なのは、自分が購入する車両が対象なのか、作業が完了しているのかという点です。
ボルボ・カー・ジャパンでは、車検証に記載された車台番号を入力して対象車両を検索できます。
中古車を契約する前に、販売店任せにせず自分でも確認しておきましょう。
また、ボルボ・カー・ジャパンが公開しているリコール一覧では、届出日、対象車種、不具合箇所を確認できます。
中古のXC60で失敗しないための確認項目
XC60の中古車を見に行くときは、次の項目を確認してください。
XC60に限らず、中古車ではボディやタイヤ、エンジンルーム、試乗時の状態を総合的に見る必要があります。基本的な確認方法は、中古車の現車確認で見るべきポイントで詳しく解説しています。
整備記録簿が残っているか
定期点検を受けているか、警告灯や故障に対してどのような修理を行ったかを確認します。
単に記録簿があるだけでなく、継続して同じ工場や正規ディーラーで整備されている車両は、履歴を追いやすいというメリットがあります。
リコール作業が完了しているか
車台番号から対象の有無を確認し、対象だった場合は作業記録も見せてもらいましょう。
「納車までに実施します」という場合は、契約書や注文書にも対応内容を残しておくと安心です。
冷間時から始動させてもらう
販売店に到着した時点ですでにエンジンが温まっていると、始動直後の異音や警告を確認できません。
可能であれば、エンジンが冷えた状態から始動し、アイドリングが安定するか、異音や警告表示がないかを確認しましょう。
遠方販売などで実車を見ずに購入すると、始動時の異音やディスプレイの動作を確認できません。現車確認なしで中古車を買うリスクも理解したうえで判断しましょう。
センターディスプレイの機能を一通り操作する
画面が表示されるだけで判断せず、カメラ、ナビ、エアコン、オーディオ、スマートフォン接続まで試します。
短時間の確認で症状が出ない場合もあるため、ソフトウェア更新履歴や過去の修理履歴も確認してください。
エアコンを冷房・暖房の両方で確認する
冷風が出るかだけでなく、左右の温度差、風量調整、異音、においも確認します。
納車時期が冬でも冷房を、夏でも暖房を試しておきましょう。
警告灯の履歴を確認する
現在警告灯が消えていても、過去のエラーが診断機に残っている場合があります。
購入前点検に診断機による確認が含まれているか、販売店に聞いてみましょう。
タイヤとブレーキの残量を見る
大径タイヤを装着したXC60は、タイヤ交換の負担も小さくありません。
購入直後にタイヤとブレーキを同時交換することになれば、車両価格が安くても結果的に割高になります。
タイヤの製造年、残り溝、ひび割れ、偏摩耗、ブレーキパッドとローターの状態を確認してください。
保証範囲を書面で確認する
「保証付き」と書かれていても、すべての部品が対象とは限りません。
ナビやセンサー、PHEVシステム、エアコン、消耗品、診断費用など、どこまで保証されるのかを書面で確認しましょう。
保証期間だけでなく、対象部品や免責事項まで確認することが重要です。中古車の保証なしが危険な理由と、保証内容の確認方法もあわせて確認してください。
新車と認定中古車なら故障の不安を抑えやすい
故障や修理費が不安なら、保証の残っている車両を選ぶのが現実的です。
ボルボ・カー・ジャパンのサービス案内では、すべてのボルボ新車に初度登録から5年間、走行距離無制限の一般保証が付帯すると案内されています。
さらに、条件を満たす車両には7年目までの延長保証も用意されています。
中古車では「Volvo Selekt」も選択肢になります。
Volvo Selektは、新車登録から12年以内の車両を対象に、サービス履歴や車両状態を確認し、電子制御ソフトウェアも最新状態に更新する認定中古車制度です。保証とロードサイドアシスタンスも用意されています。
一般の中古車より価格が高くても、購入後の故障リスクを抑えたい人にはメリットがあります。
XC60を避けた方がいい人
次のような人には、XC60は慎重に検討した方がよいでしょう。
- 国産車と同程度の維持費を想定している
- 警告表示やソフトウェア更新を煩わしく感じる
- 保証終了後の突発的な修理費に備えられない
- 近くにボルボを診られる整備工場がない
- 整備履歴が不明な格安中古車を狙っている
- 車幅やタイヤ代まで含めた維持費を確認していない
特に、相場より大幅に安い中古車を購入し、できるだけ整備費をかけずに乗りたい人とは相性がよくありません。
XC60だけでなく、ボルボ全体の維持費やリセール、ディーラーとの付き合い方まで確認したい方は、ボルボを買ってはいけないと言われる理由も参考にしてください。
それでもXC60を選ぶ価値がある人
一方で、XC60は次のような人にとって魅力的な選択肢です。
- 北欧らしい内外装デザインが好き
- シートの快適性や長距離性能を重視する
- 安全装備を車選びの中心に置いている
- 国産SUVとは違う上質さが欲しい
- 定期点検と予防整備をきちんと行える
- 保証や整備履歴を重視して中古車を選べる
XC60の魅力は、単に安全装備が多いことだけではありません。
落ち着いた内装、疲れにくいシート、派手すぎない存在感など、ほかのプレミアムSUVにはない個性があります。
故障の可能性をゼロにはできませんが、年式、パワートレイン、整備履歴、保証の4点を確認すれば、リスクはかなり絞り込めます。
ボルボXC60の故障に関するよくある質問
XC60は国産SUVより壊れやすいですか?
XC60が国産SUVより何倍壊れやすいと判断できる、公的な国内データはありません。
ただし、電子制御装備が多く、部品代や診断費用も高くなりやすいため、不具合が起きたときの負担は国産SUVより大きくなる可能性があります。
XC60の中古車は何年落ちまで安心ですか?
年式だけで安全性や故障リスクを判断することはできません。
比較的新しい車両でも整備履歴が不明なら不安が残ります。反対に、年数が経過していても、定期点検、必要な部品交換、リコール対応が行われている車両なら検討できます。
保証の残りと整備記録を優先して判断しましょう。
XC60のPHEVは避けた方がいいですか?
PHEVだから避ける必要はありません。
ただし、ガソリン車やマイルドハイブリッド車より構造が複雑で、高電圧バッテリーや充電システムも搭載されています。
対象車では「外-3980」のリコール対応状況を確認し、PHEVシステムが保証対象になるかも確認してください。
警告灯が点いたXC60は買わない方がいいですか?
原因が特定されていない状態では、契約を急がない方がよいでしょう。
バッテリー電圧やソフトウェアが原因の場合もありますが、センサーや制御装置の故障も考えられます。
警告灯を消しただけではなく、診断結果と修理内容を確認することが重要です。
まとめ:XC60は「壊れやすい」だけで判断しない
ボルボXC60を車種全体として、壊れやすい車と断定することはできません。
一方で、電子制御装備や電動化システムが多く、保証終了後の修理費が高くなりやすいことは、購入前に理解しておきたいポイントです。
中古車選びでは、次の項目を優先しましょう。
- 年式とパワートレインを確認する
- 車台番号からリコール対象を調べる
- リコール作業の完了記録を見る
- 整備記録簿と警告灯の履歴を確認する
- センターディスプレイやカメラを実際に操作する
- 冷間時から試乗する
- 保証範囲を契約前に確認する
相場より安いという理由だけで、整備履歴の分からないXC60を選ぶのはおすすめできません。
しかし、きちんと整備され、保証とリコール対応が確認できる車両なら、故障への不安だけを理由に候補から外す必要もないでしょう。
XC60は、維持費の安さだけで選ぶ車ではありません。
その代わり、北欧デザイン、安全思想、シートの快適性、長距離での落ち着いた乗り味に価値を感じられる人には、ほかでは代えにくい魅力を持ったSUVです。
