日産を代表するミドルサイズSUVのエクストレイル。現行モデルは全車にe-POWERを採用し、電動車らしい滑らかな加速とSUVらしい走破性を両立しています。
一方、車両価格は約384万円から。売れ筋のX e-4ORCEは400万円台半ばとなるため、「価格が高い」「燃費は期待ほどではない」「買ってから後悔しないか」と気になる人も多いでしょう。
結論からいうと、エクストレイルは静かで上質な走りと、雨・雪・悪路での安心感を重視する人には買う価値のあるSUVです。特にe-4ORCEは、単に雪道に強い4WDではなく、日常のカーブや加減速でも安定感と乗り心地のよさを感じやすいのが魅力です。
ただし、燃費や価格の安さを最優先する人、3列目を日常的に使いたい人には、ほかのSUVやミニバンのほうが合う可能性があります。
この記事では、2025年9月にマイナーチェンジした現行エクストレイルをもとに、e-POWERとe-4ORCEの違い、価格、燃費、後悔しやすいポイントを解説します。

日産エクストレイルは買いか?結論
エクストレイルをおすすめできるのは、次のような人です。
- モーター駆動ならではの滑らかで力強い加速を求める人
- 静粛性や乗り心地を重視する人
- 雨天や雪道、高速道路を安心して走りたい人
- キャンプやスノーボードなどで荷物を多く積む人
- 燃費だけでなく、走行性能や内装の上質感にも価値を感じる人
反対に、次のような人は慎重に検討したほうがよいでしょう。
- とにかく車両価格を抑えたい人
- ハイブリッドSUVに燃費20km/L超を期待する人
- 狭い道や立体駐車場を頻繁に利用する人
- 大人が常用できる3列目を求める人
- 高速道路での燃費を最優先する人
エクストレイルの強みは、燃費だけではありません。静粛性、加速の滑らかさ、e-4ORCEによる安定感、荷室の広さをまとめて評価する車です。

現行エクストレイルは全車e-POWER
現行のT33型エクストレイルは、全車に1.5L可変圧縮比ターボエンジンを使ったe-POWERを搭載しています。
e-POWERは、エンジンで発電し、その電気を使ってモーターでタイヤを駆動する日産独自の電動パワートレインです。一般的なハイブリッド車のようにエンジンが直接タイヤを駆動するのではなく、走行の主役はモーターです。
そのため、発進直後から力強く、変速ショックのない滑らかな加速を味わえます。アクセル操作に対する反応も自然で、市街地では扱いやすく、高速道路への合流でも余裕を感じやすいでしょう。
ただし、エンジンを搭載しない電気自動車ではありません。ガソリンを給油して走るため、充電設備は不要ですが、走行状況によっては発電用エンジンの音が聞こえます。

e-POWERとe-4ORCEの違い
エクストレイル選びで最も迷いやすいのが、2WDとe-4ORCEの違いです。
| 項目 | 2WD | e-4ORCE |
|---|---|---|
| 駆動方式 | 前輪駆動 | 電動4WD |
| モーター | フロント1基 | 前後2基 |
| 得意な場面 | 市街地、舗装路中心 | 雨、雪、カーブ、悪路、高速道路 |
| WLTCモード燃費 | 19.4~19.1km/L | 18.1~17.9km/L |
| 価格 | 比較的安い | 2WDより約19万~30万円高い |
| 乗車定員 | 5人 | 5人/Xのみ7人設定あり |
e-4ORCEは、前後2つのモーターと4輪のブレーキを統合制御する日産の電動4WD技術です。路面状況に応じて前後の駆動力を細かく調整し、カーブで車体が外側へ膨らむ動きや、加減速時の揺れを抑えます。
つまり、e-4ORCEのメリットは雪道だけではありません。雨の日の高速道路、山道のカーブ、街中での発進や減速でも、車体が安定しやすく、同乗者も快適に感じやすいのが特徴です。
一方、雪がほとんど降らない地域で市街地走行が中心なら、2WDでもエクストレイルの滑らかなモーター走行は十分に味わえます。価格と燃費を優先するなら2WD、走りと安心感を優先するならe-4ORCEが適しています。

エクストレイルの価格とおすすめグレード
現行エクストレイルの基準車は、S・X・Gの3グレードです。メーカー希望小売価格は次のとおりです。
| グレード | 駆動方式 | シート | 価格(税込) |
| S | 2WD | 2列・5人 | 3,843,400円 |
| X | 2WD | 2列・5人 | 4,049,100円 |
| G | 2WD | 2列・5人 | 4,646,400円 |
| S e-4ORCE | 4WD | 2列・5人 | 4,038,100円 |
| X e-4ORCE | 4WD | 2列・5人 | 4,349,400円 |
| G e-4ORCE | 4WD | 2列・5人 | 4,946,700円 |
| X e-4ORCE | 4WD | 3列・7人 | 4,479,200円 |
※価格は2025年9月発売モデルのメーカー希望小売価格。登録諸費用やメーカー・ディーラーオプションなどは含みません。
このほか、アウトドア志向のROCK CREEK、走行性能を高めたNISMO、上質感を強調したAUTECHなども設定されています。ただし、特別仕様を選ぶほど価格は上がるため、まずは基準車から検討するのが現実的です。
おすすめはX e-4ORCE
もっともバランスがよいのは、2列5人乗りのX e-4ORCEです。
Sより装備が充実し、Gほど価格が高くないため、エクストレイルらしい電動4WDの走りと実用性を両立できます。車両価格は434万9,400円で、2WDのXとの差は30万300円です。
雪道を走る人はもちろん、家族を乗せて高速道路や山道を走る機会が多い人なら、この価格差をe-4ORCEの安心感に払う価値はあるでしょう。
価格を抑えるならS e-4ORCEも候補
装備より走行性能を優先するなら、S e-4ORCEも候補です。価格は403万8,100円で、2WDのXとほぼ同じ価格帯に収まります。
ただし、必要な快適装備や内外装の選択肢が足りるかは確認が必要です。見積もり時には、車両本体価格だけでなく、ナビや安全・快適装備を加えた支払総額で比較しましょう。
上質感を求めるならG
Gは内装や快適装備を重視する人に向く上級グレードです。エクストレイルの静かな走りと上質な室内を最も楽しみやすい一方、e-4ORCEでは約495万円に達します。
オプションや諸費用を含めると、支払総額が500万円を超える可能性があります。価格よりも質感や装備を優先できる人向けと考えましょう。

エクストレイルの燃費は悪い?
エクストレイルのWLTCモード燃費は、2WDが19.4~19.1km/L、e-4ORCEが18.1~17.9km/Lです。
| 駆動方式 | WLTC | 市街地 | 郊外 | 高速道路 |
| 2WD | 19.4~19.1km/L | 17.9~17.5km/L | 21.1~20.6km/L | 19.1~18.9km/L |
| e-4ORCE | 18.1~17.9km/L | 15.9~16.0km/L | 19.8~19.3km/L | 18.1~18.0km/L |
※グレード、乗車定員、車両重量、装備によって数値が異なります。
ミドルサイズSUVとして見れば十分に良好ですが、「e-POWERなら20km/Lを大きく超えるはず」と考えると期待外れになるかもしれません。
エクストレイルは車体が大きく、e-4ORCEは後輪用モーターも搭載します。燃費だけを追求したコンパクトなハイブリッド車とは設計の狙いが異なります。
また、WLTCモード燃費は定められた試験条件で測定した数値です。実際の燃費は、外気温、渋滞、走行距離、エアコンの使用、乗車人数、運転方法などで変わります。特に短距離走行や冬季は、暖機や暖房の影響で数値が下がりやすいため注意が必要です。
エクストレイルの燃費は「驚くほど低燃費」というより、力強い走りと車格を考えれば納得できる水準と捉えるのが適切です。

エクストレイルで後悔しやすいポイント
1. 車両価格と支払総額が高い
最も大きな後悔ポイントは価格です。エントリーグレードでも約384万円、売れ筋のX e-4ORCEは約435万円です。
さらに、ボディカラー、ナビ、フロアマット、ドラレコ、コーティング、メンテナンスパックなどを加えると、支払総額は車両価格より大きく上がります。
競合車と比較するときは、カタログの開始価格ではなく、必要な装備をそろえた見積総額で比べることが重要です。
2. 燃費を最優先すると期待外れになりやすい
e-POWERという名称から、コンパクトカー並みの燃費を期待する人もいるでしょう。しかし、e-4ORCEのWLTCモード燃費は18km/L前後です。
エクストレイルは、低燃費だけでなく、モーターの加速、静粛性、4WDの安定感を含めて選ぶSUVです。年間走行距離が多く、燃料代の安さを最優先するなら、競合ハイブリッド車も含めて比較しましょう。
3. 発電用エンジンの音が気になる場面がある
低速では静かな一方、バッテリー残量が少ないときや強く加速したとき、暖房を使う寒い日などは発電用エンジンが作動します。
車速とエンジン音が必ずしも一致しないため、一般的なガソリン車から乗り換えると違和感を持つ可能性があります。試乗では市街地だけでなく、坂道や加速時の音も確認しましょう。
4. 全幅1,840mmで狭い場所では気を使う
現行モデルのボディサイズは、全長4,690mm、全幅1,840mm、全高1,720mmです。室内や荷室に余裕がある反面、狭い住宅街や古い立体駐車場では扱いに気を使います。
購入前には、自宅駐車場の幅だけでなく、ドアを開ける余裕、駐車場までの道幅、よく使う施設の高さ制限も確認しておきましょう。
5. 3列目は常用より緊急用に近い
3列7人乗りはX e-4ORCEに設定されていますが、3列目を展開すると荷室が狭くなります。2022年モデルの公表値では、3列使用時の荷室容量は140L、3列目後端からバックドアまでの荷室長は約310mmでした。
現在の2025年9月改良モデルについては、日産FAQで3列シート車の荷室寸法・容量を確認中としています。いずれにしても、3列目は子どもの送迎や短距離での一時利用を想定し、日常的に6~7人で移動するならセレナなどのミニバンも比較したほうがよいでしょう。
6. グレードとオプション選びが複雑
基準車だけでもS・X・G、2WDとe-4ORCE、2列と3列があります。さらにROCK CREEK、NISMO、AUTECHが加わるため、選択肢は豊富ですが迷いやすくなっています。
デザインだけで決めず、「必要な駆動方式」「乗車人数」「絶対に欲しい装備」の順で候補を絞ると選びやすくなります。

荷室と3列シートの実用性
2列シート車の荷室容量は575Lで、100V AC電源装着車は560Lです。2列目を最後端にした状態でも荷室長は約951mm、2列目を倒すと約1,821mmまで広がります。
キャンプ用品、スノーボード、サーフボードなどの長い荷物も積みやすく、アウトドアSUVとして実用的です。グレード別設定の100V AC電源は最大1,500Wに対応し、屋外での家電使用や災害時の非常用電源にも活用できます。
ただし、長いボードや大きなキャンプ用品が実際に載るかは、荷物の形状によって異なります。購入前に実物を積ませてもらうか、寸法を測って確認するのが確実です。

RAV4・ハリアー・フォレスター・アウトランダーPHEVと比べてどう?
エクストレイルを検討する際は、トヨタRAV4、トヨタ・ハリアー、スバル・フォレスターに加え、三菱アウトランダーPHEVも主な比較対象になります。
| 車種 | 向いている人 |
| エクストレイル | モーターの滑らかさ、静粛性、電動4WDの安定感を重視する人 |
| RAV4 | SUVらしい実用性とハイブリッドの燃費を重視する人 |
| ハリアー | 都市部でのデザインや内装の高級感を重視する人 |
| フォレスター | 視界、悪路・雪道での安心感、実用性を重視する人 |
| アウトランダーPHEV | 自宅などで充電でき、日常はEVとして走りたい人 |
エクストレイルとアウトランダーPHEVの違い
エクストレイルとアウトランダーPHEVは、ルノー・日産・三菱アライアンスのC/Dセグメント向け共通プラットフォームを採用する、いわゆる兄弟車です。ホイールベースはともに2,705mmで、基本的な車格も近いため、購入時に比較されやすい2台です。
ただし、同じボディに別のエンジンを載せただけの車ではありません。外観や内装、乗り味に加え、電動システムの考え方が大きく異なります。
| 項目 | エクストレイル | アウトランダーPHEV |
| 電動方式 | e-POWER | プラグインハイブリッド |
| 駆動方式 | 2WD/e-4ORCE | 4WD |
| 外部充電 | 非対応 | 対応 |
| EV走行 | エンジンで発電しモーターで走行 | 充電した電気だけでも走行可能 |
| EV走行換算距離 | 設定なし | WLTCモード102~106km |
| ハイブリッド燃費 | WLTCモード17.9~19.4km/L | WLTCモード17km/L前後※ |
| 乗車定員 | 5人/7人 | 5人/7人 |
| ボディサイズ | 全長4,690×全幅1,840×全高1,720mm | 全長4,720×全幅1,860×全高1,750mm |
| 車両価格 | 3,843,400円から | 5,369,100円から※ |
※アウトランダーPHEVの燃費・価格はグレードによって異なります。
エクストレイルのe-POWERは、ガソリンエンジンで発電し、モーターで走る仕組みです。外部充電はできませんが、ガソリンを給油すればよいため、自宅に充電設備がない人でも電動車らしい滑らかな走りを楽しめます。
アウトランダーPHEVは、大容量バッテリーに外部から充電できるのが最大の違いです。現行モデルのEV走行換算距離はWLTCモードで102~106km。自宅で充電でき、毎日の走行距離がその範囲に収まる人なら、普段はエンジンをほとんど使わずEVに近い使い方ができます。給電機能やバッテリー容量を、キャンプや停電時に活用したい人にも向いています。
一方、アウトランダーPHEVはエクストレイルよりボディがひと回り大きく、開始価格も100万円以上高くなります。充電環境がなく、購入価格を抑えながらモーター駆動と電動4WDの走りを味わいたいなら、エクストレイルのほうが選びやすいでしょう。
選び分けは明確です。充電せず手軽に電動車へ乗りたいならエクストレイル、自宅で充電して日常の多くをEV走行したいならアウトランダーPHEVが向いています。兄弟車ではありますが、価格差だけでなく、自宅充電の可否と日々の走行距離を基準に比べることが重要です。
エクストレイルの個性は、e-POWERとe-4ORCEを組み合わせた電動感の強い走りです。アクセルを踏んだ瞬間の反応、静かな市街地走行、カーブや減速時の車体の落ち着きに魅力を感じるなら、有力候補になります。
一方、燃費、後席の広さ、荷室、価格、運転支援装備など、優先順位によって最適な車は変わります。カタログ数値だけで決めず、同じ日に競合車と乗り比べるのがおすすめです。

エクストレイルで後悔しないための確認ポイント
購入前には、次の点を確認しましょう。
- 2WDとe-4ORCEを同じ条件で試乗する
- 必要なオプションを含む支払総額を出す
- 自宅や勤務先の駐車場に入るか確認する
- 発電用エンジンの音を加速時や坂道で確認する
- 3列目を使う人は実際に座って乗降性も確認する
- 普段の荷物やアウトドア用品が載るか測る
- 任意保険、タイヤ、車検を含む維持費を見積もる
特に重要なのが試乗です。e-POWERの感覚やe-4ORCEの安定感は、スペック表だけでは判断できません。短い市街地コースだけでなく、可能なら荒れた路面、坂道、カーブを走って確認しましょう。

まとめ:エクストレイルは走りと安心感で選ぶSUV
日産エクストレイルは、価格や燃費だけで選ぶと割高に見えるかもしれません。しかし、モーター駆動の滑らかさ、静粛性、e-4ORCEの安定感、広い荷室を含めて考えると、完成度の高いミドルサイズSUVです。
なかでもX e-4ORCEは、装備、価格、走行性能のバランスがよく、エクストレイルらしさを味わいやすいグレードです。雪道を走らない人でも、雨天、高速道路、山道での安心感を重視するなら検討する価値があります。
一方、燃費のよさや購入価格を最優先する人、3列目を頻繁に使う人には、競合SUVやミニバンのほうが合う場合があります。
後悔を避けるには、「e-POWERだから低燃費」「4WDは雪国だけ」と決めつけず、自分が走る道や使い方にe-4ORCEの価値が合うかを見極めることが大切です。2WDとe-4ORCEを乗り比べ、必要な装備を含めた総額に納得できるなら、エクストレイルは長距離移動からアウトドアまで頼れる一台になるでしょう。

参考資料
- 日産自動車「エクストレイル 価格・グレード」
- 日産自動車「エクストレイル環境情報(環境仕様書、2026年3月発行)」
- 日産自動車「e-4ORCE」
- 日産自動車FAQ「エクストレイル 荷室の寸法・容量・積載能力」
- 日産自動車ニュースルーム「エクストレイルをマイナーチェンジ」(2025年8月21日)
- 三菱自動車「アウトランダーPHEV」公式サイト・主要諸元
- 三菱自動車「ルノー・日産・三菱自動車、アライアンスのロードマップを発表」(2022年1月27日)
※記事内の価格・仕様・燃費は2026年8月確認時点です。購入時は日産公式サイトまたは販売店で最新情報をご確認ください。
