「ロードスターが欲しい。でも、やめとけという意見も多い」
マツダ・ロードスターを検討していると、一度はそんな情報を目にするのではないでしょうか。
確かにロードスターは、実用性だけで考えれば積極的におすすめしにくい車です。
2人しか乗れない。荷物もそれほど積めない。車内は広くない。ファミリーカーとして使うには明らかに不便です。
それでもロードスターは、長く支持され続けています。
筆者自身、かつてロードスターのVスペシャルを所有していました。
今振り返っても、とても好きな車です。
軽くて、運転していて楽しい。
ロードスターの魅力を突き詰めれば、結局このシンプルな言葉に行き着くように思います。
その後アメリカへ渡った際、「Miata」として多くの人に親しまれているロードスターを目にしました。日本で乗っていた車が海外でもこれほど愛されていることを、元オーナーとして嬉しく感じたのを覚えています。
この記事では「ロードスターはやめとけ」という意見を否定するのではなく、なぜそう言われるのか、本当に後悔するのはどんな人なのかを考えていきます。
先に結論を言えば、ロードスターは誰にでもおすすめできる車ではありません。
しかし、条件が合う人にとっては、多少の不便を受け入れてでも所有する価値のある車です。

ロードスターはなぜ「やめとけ」と言われるのか
ロードスターについて調べると「やめとけ」「後悔した」という言葉が出てくるのには理由があります。
代表的なのは次のような点です。
- 2人しか乗れない
- 荷物を積める量が限られる
- 車内が狭い
- 乗り降りしにくい
- ロードノイズなどが気になりやすい
- 車高が低く、周囲の車を大きく感じる
- 1台ですべてをこなす用途には向かない
どれも間違った指摘ではありません。
問題は、これらを一般的な乗用車と同じ基準で評価するかどうかです。
ロードスターにミニバンやSUVのような実用性を求めれば、当然不満が出ます。
一方で、ロードスターを選ぶ人が求めているものは、そもそもそこではないはずです。

一番の問題は「2人しか乗れない」こと
購入後に困る可能性が最も高いのは、やはり2シーターであることです。
友人を乗せることもできませんし、子どもがいる家庭ならロードスター1台ですべての移動をまかなうのは現実的ではないケースが多いでしょう。
「普段は1人だから大丈夫」
と思って購入しても、生活環境は変わります。
結婚、出産、親の送迎などが発生すれば、2シーターという制約が一気に大きくなります。
逆にいえば、別に家族用の車がある、基本的に1人か2人でしか乗らない、といった環境なら、この欠点はほとんど問題になりません。
ロードスターの評価は、1台持ちなのか、2台目なのかによって大きく変わる車だと思います。

荷物は積めない。でも想像より困らない人もいる
ロードスターに大きな荷室を期待する人はいないでしょう。
ただし重要なのは「荷室が小さい」というスペックそのものではなく、自分が普段どんな荷物を運んでいるかです。
日常の買い物や小さなバッグ程度なら対応できます。
一方、
- キャンプ用品を積む
- 大きなスポーツ用品を運ぶ
- 家族旅行に使う
- 大量の買い物をする
といった用途が多ければ、不便を感じる場面は当然増えます。
ロードスターを買う前には、カタログの荷室容量を見るより、普段自分が車に積んでいるものを思い浮かべた方がいいでしょう。

車内の狭さは必ず実車で確認したい
ロードスターは低く、コンパクトです。
このタイトな空間を「スポーツカーらしい」と感じる人もいれば、「窮屈」と感じる人もいます。
ここは数字だけでは判断しにくい部分です。
特に体格の大きい人は、シートポジションだけでなく、頭上空間、足元、乗り降りまで実車で確認することをおすすめします。
毎日使う車なら、「格好いいから多少狭くても我慢できる」と思っていた部分が、数年後にはストレスになる可能性があります。
ロードスターは速さを求める車ではない
ロードスターの魅力を理解するうえで、ここはかなり重要だと思っています。
ロードスターは、圧倒的なパワーで加速するタイプのスポーツカーではありません。
しかし、私はそれを欠点だとは感じませんでした。
Vスペシャルに乗っていた頃を思い返しても、印象に残っているのは「速かった」ということではありません。
軽かった。そして、運転することそのものが楽しかった。
車体が軽く、自分の操作に車が素直についてくる。
必要以上の速度を出さなくても、曲がる、止まる、加速するという車の基本的な動作を楽しめる。
ロードスターという車が長く支持されてきた理由は、この部分にあるのではないでしょうか。

不便だからこそ成立する魅力もある
今の車は非常によくできています。
静かで、快適で、安全装備も充実し、荷物もたくさん積める。
SUVなら1台でかなり多くの用途をこなせます。
それと比較すれば、ロードスターは明らかに不便です。
しかし、すべてを便利にしてしまったらロードスターではなくなってしまうとも思います。
2人乗り。
低い車体。
コンパクトなボディ。
軽さを重視した設計。
こうした制約があるからこそ、ロードスター独特の運転感覚が生まれています。
実用性だけで車を選ぶなら、ロードスターを選ぶ理由はほとんどありません。
でも車を選ぶ理由は、実用性だけではありません。
駐車場に停まっている姿を見て嬉しくなる。
天気のいい日に屋根を開けたくなる。
目的地がなくても少し走りたくなる。
ロードスターは、そんな感覚に価値を感じる人のための車です。
オープンカーは実際どうなのか
ロードスターを検討するなら、オープンカーという特徴も無視できません。
「最初だけ開けて、そのうち使わなくなるのでは?」
と思う人もいるでしょう。
確かに真夏の日中や真冬など、屋根を開けるのに向かない日はあります。
しかし気候のいい季節に屋根を開けて走る感覚は、通常の車では味わえません。
特にロードスターは、オープンにすることが特別なイベントではなく、日常の延長として楽しめるところが魅力です。
オープンカーを所有することそのものに興味がある人なら、試乗するときにも一度は屋根を開けて走ってみてください。
NAから現在のロードスターまで、変わっていないもの
私が乗っていた頃のロードスターと現在のロードスターでは、当然デザインも装備も大きく違います。
当時はリトラクタブルヘッドライトのスタイルがとても格好いいと思っていました。
現在のND型にはリトラクタブルライトはありませんが、張り出したフェンダーや低く構えたプロポーションには、また違った魅力があります。
デザインは時代とともに変わりました。
それでも、
小さく、軽く、人が車を操ることを楽しむ。
というロードスターの基本的な考え方は、今も大きく変わっていないように感じます。
アメリカでMiataが長く愛されているのも、単に日本製のスポーツカーだからではなく、この分かりやすい楽しさが国を越えて伝わるからなのかもしれません。
ロードスターをやめた方がいい人
では、どんな人なら本当に「やめとけ」なのでしょうか。
1台ですべて済ませたい人
通勤、買い物、家族旅行、送迎、レジャーまで1台でこなしたいなら、ロードスターはかなり厳しい選択です。
SUVやコンパクトカーの方が圧倒的に便利でしょう。
家族や友人を乗せる機会が多い人
2シーターという制約は工夫では解決できません。
「たまにだから大丈夫」と考えず、実際の生活を振り返って判断した方がいいでしょう。
荷物を頻繁に運ぶ人
アウトドア用品や大きな荷物を日常的に積むなら、ロードスターをメインカーにするのはおすすめしにくいです。
快適性を最優先する人
静粛性、乗降性、広さなどを重視するなら、ロードスターより適した車はいくらでもあります。
馬力や絶対的な速さを求める人
アクセルを踏んだ瞬間の圧倒的な加速をスポーツカーに求めるなら、ロードスターは方向性が違います。
それでもロードスターをおすすめしたい人
反対に、次のような人ならロードスターは一度乗ってみる価値があります。
- 運転そのものが好き
- 速さより軽快さを楽しみたい
- 1人または2人で乗ることが多い
- 実用車が別にある
- オープンカーに一度乗ってみたい
- 車を単なる移動手段として考えていない
- 多少の不便も含めて楽しめる
特に最後は重要です。
ロードスターの欠点を一つずつ消していけば、最後にはロードスターではない車になってしまいます。
だからこそ、
「不便があることは分かった。それでも欲しい」
と思えるかどうか。
そこが購入判断の境目だと思います。
SグレードとRFについては別記事で詳しく解説
ロードスターそのものが自分に合っていると思ったら、次は「どのロードスターを選ぶか」です。
価格を抑えながらロードスター本来の軽さを楽しみたい人にとって気になるのがSグレードです。
→ ロードスターSは買いか?最安グレードを選んで後悔しないか解説
一方、ソフトトップではなく電動格納式ハードトップを採用するRFは、ロードスターの中でも少し性格が違います。
→ ロードスターRFは後悔する?幌モデルとの違い・向いている人を解説
SやRFの細かなメリット・デメリットは、それぞれの記事で詳しく解説しています。
中古ロードスターを選ぶのもあり
ロードスターは歴史が長いため、新車だけでなく中古車にも豊富な選択肢があります。
NA、NB、NC、NDと世代によってデザインや乗り味が異なるため、「最新型が必ず正解」とも限りません。
一方、古いロードスターでは年式相応の劣化も考える必要があります。
特に趣味性の高い車だけに、前オーナーによる使われ方や改造内容など、個体差には注意したいところです。
中古車を選ぶ場合は価格だけで決めず、整備履歴や車両状態まで含めて判断することをおすすめします。
まとめ|ロードスターは「不便だからやめとけ」ではない
ロードスターは万人向けの車ではありません。
2人しか乗れず、荷物も限られ、実用性ではSUVやミニバンに到底かないません。
その意味では「ロードスターはやめとけ」という意見にも一理あります。
しかし、それだけでこの車を評価するのは少し違うと思っています。
私自身、Vスペシャルを所有していました。
そして今でもロードスターを思い出したとき、最初に浮かぶのはスペックではありません。
軽くて、楽しかった。
それです。
速い車も、高級な車も、便利な車もたくさんあります。
でも、車を動かすという単純な行為そのものを楽しませてくれる車は、それほど多くありません。
ロードスターの不便さが生活上の問題になるなら、無理に選ぶ必要はありません。
一方で、不便さを理解したうえで、それでもロードスターが気になって仕方がないなら、一度実際に乗ってみてください。
おそらくロードスターは、スペック表だけを眺めて結論を出すより、運転してから買うかどうかを決めた方がいい車です。
